栗山家住宅
なんと慶長12年(1607年)に建てられた民家です。
 5月GWの晴れた日に、ご近所さんをドライブしてきました。
 向かった先は、奈良県五條市(^^;
 先日、関西ローカルのテレビで取り上げられていたので、行ってみることにしました。
 最近開通した京奈和道(無料開放中)を走ること一時間あまり。
五條市に到着しました。
 街中をツーリングのバイクが東西南北に行き交ってました。
それもそのはず、五條は紀州街道(和歌山へ)・伊勢街道(松阪へ)・下街道(奈良へ)・西熊野街道(十津川へ)大澤・千早街道(河内長野・千早赤坂へ)が交わる
交通の要衝

なのです。
 江戸時代を通じて宿場町として、南和地方(いわゆる奈良県南部)の政治経済の中心地として栄えました。
 この街の礎を築いたのが松倉重政です。
 大和国の大名であった筒井家の重臣だった重政。筒井家が伊賀国に転封になると、大和国を治めた豊臣秀長に仕えます。
 関が原合戦では徳川方について参戦。その功を認められて五條で一万石を与えられます。
 重政は五條二見に二見城を築き、城下町として新町(現:五條市新町通り界隈)を整備します。
城下町の振興策として93軒の町屋を取り立てて諸役を免除し、五條を商業の街として発展させました。
 重政は大阪夏の陣にも功を立て、慶長20年(1615年)に肥前島原4万8千石へ加増転封となりました。
 その後の五條は天領(幕府直轄地)となり、1795年には代官所も置かれました。
 江戸両国花火の祖、鍵屋弥兵衛はこの町で黒色火薬の製造を学び、万治2年(1659年)に江戸に出て花火師となりました。
 歌舞伎・人形浄瑠璃「艶容女舞衣」は、江戸時代にあった心中事件を元にした演目ですが、主人公「茜屋半七」こと「赤根屋半七」は、ここ五條新町の染物屋でした。
 江戸時代末期の文久3年(1863年)には、天誅組事件がここ五條で起こっています。
 

煙出しが印象的です。

新町通り
 新町通りをぶらぶらと歩きます。
 ここは紀州街道でして、江戸時代初期には紀州藩候の行列がここを行き交っていました。
 道の両側には古い建物が残っています。
 宿場町には造り酒屋がつきものですが、新町通りにもありました。

山本本家
「松の友」銘柄のお酒を造っているようです。
「柿ワイン」もあるようです。
創業は宝永年間だとか

昭和初期頃の石造りの建物。
眼科だったようです。
新町通りはお医者さんが結構多かったです。
 風はさわやかですが、日差しは強かったですね〜
 団体さんも一組歩いていました。

新町通り2

蔵つくりっぽい民家が。
うだつもばっちり挙がってます。
 まだ観光地化しきれていない風情がまたよかったりします。
 江戸〜明治・大正の建物だけでなく、昭和30〜40年代の建物も混在しているのがまたいい感じです。

新町は大火に遭ったため、防火には気を使っていたのでしょう。

五新線は吉野川を渡れませんでした。
 新町通りを五新線が横切っていました。

五新線とは、奈良県五條市と和歌山県新宮市を鉄道で結ぼうという無謀壮大な計画路線です。
 当時盛んだった林業の木材輸送と、海岸線を走っていた紀勢本線では艦砲射撃に遭いやすいため、新宮への軍事輸送を担うという目的もあったようです。
 しかし、ここから新宮までの山の険しさを考えると、無謀としか思えないのですが・・・
 とにかく、昭和16年(1939年)に工事が始まり、太平洋戦争の資材難で工事が中断したりしながら、結局昭和55年(1980年)頃まで工事が続けられますが、1982年に工事は凍結され、一度も列車が走らないまま廃止となりました。
 一部完成していた路盤はバス専用道として転用されたりしていますが、それもどうなることやら・・・

五新線のアーチ
(高架)
国道24号線をまたいでいた部分は、国道拡張のために取り壊されていました。

川原へと降りていく路地1
 現在の新町通り南側には、吉野川の堤防がありますが、これが完成したのが昭和50年代のことで、それまでは川原に直接面していたのです。
 商家の裏から川舟に物資を積み、川を下っていったのでしょう・・・

 堤防ができるまでは、何度か水害にもあっているようです。伊勢湾台風(昭和34年)の時はひどかったようですよ。

川原へと降りていく路地2

石垣が築かれています。

松倉重政墓碑
 五條の基礎を築いた松倉重政の墓碑です。
 松倉重政は島原に転封後、10万石並の城(島原城)を築くために重税を課したりキリシタンを迫害したりと悪行の限りをつくしたイメージが強いのですが、ここ五條では名君のイメージが強いようで、このように墓碑が建てられたり、重政にちなんだ祭りを行った記録が残っています。(重政が亡くなったのは、島原の乱直前のことでした)
 どこで人格が変わっちゃったんでしょうか・・・

墓碑の解説版

城跡から新町通り方面を見る
 新町からてくてく歩いて二見城を目指します。
その途中、岡本邸?に寄ってみました。なにかイベントをやってまして、会員さん?の竹細工なんかが展示されてました。無料でお抹茶の振る舞いもありましたよ。
けっこうおいしかったです。
 さて。岡本邸?を跡にして、新町から坂を登って台地の上に出ました。
 この吉野川に突き出した台地の上に、松倉重政は二見城を築きました。
東西40間、南北30軒ほどの小さなお城(陣屋?)だったようですが、眼下に吉野川と城下町を見下ろすことができ、吉野川の水運を睨むお城でした。

資材置き場がかつての堀跡
 資材置き場になっている場所が、かつての堀跡のようです。
 大手門があったであろう場所までやってきました。

大手門跡?

解説版
 大手門跡には解説版が建てられていました。
 城の北側と東側が吉野川の淵に面していて、本丸と二の丸が南北に並び、城の南側には馬場が、西側に家臣団の屋敷があったようです。

解説版にあった城絵図
北が右になります。

本丸跡はお寺になってました。
 本丸跡はお寺になっていました。
 二の丸跡は製材所と個人のお宅になっています。

本丸北側は断崖になってます。

二見城跡遠景
写真中央付近が城跡です。
 帰りは堤防の上を歩いて帰ってきました。
 振り返ると城跡を望み、前には五新線のアーチが見えて来ました。

再び五新線

なんかさびしいですな
 しかし戦前から始まった工事が昭和52年まで続けられたってのがすごいですな。
 壮大な無駄使いですよね〜国鉄が赤字になるわけです。

吉野川対岸にも五新線の痕跡発見
 再び新町通りに戻りまして、まちや館(入館無料)に入りました。
 ここは初代保安庁(現:防衛省)長官であった木村篤太郎の生家だそうです。
勉強部屋が残されていました。2畳の小部屋で勉強していたそうですよ。
 ここで柿もなかを発見!(130円)
 さっそく食べてみました。
おいしいんですが、ゆずが効きすぎて柿の味があまりしませんでした。
柿餡のなかに入っている柿の食感はよかったんですけどね(^^;

創業享保元年の薬屋さん
 関西ローカルの番組でも紹介されていた薬屋さんを発見しました。
 なんと創業が享保元年だそうですので、8代将軍吉宗の時代から薬を売っていることになります。
 びっくりですねえ〜
 あいにくお休みでしたが、感動しました。

煎じ薬用の土瓶発見
その名も「母こころ」です。

けっこういい感じですね。
映画のロケ地にもなったそうですよ。
 新町通りは映画のロケ地にもなったことがあるそうで、結構いい感じの街並でした。
 まだまだ売り出し中のようで、改修工事中の建物があったり、まだ観光客慣れしていない感じですが、それがまた良かったりします。

山本本店の裏側

渡り廊下が渋いですな
 細い路地がたくさんあるのも懐かしい感じがします。
 この路地は狸小路というらしいですが、なんででしょうね?

反対側からもぱちり

右 いせ
 五條市の中心に国道が交わる交差点がありまして、その名も「本陣」といいます。
 ここには安政2年(1855年)に建てられた道しるべが残っていました。
 右 伊勢 よしの 大峰 なら
   高野 和歌山 四国 熊野

て書いてますね。

高野

安政2年と彫られてます
 今は国道24号線と国道310号、国道168号線が交わる交差点となっています。
昔と変わらず交通の要衝です。

昭和の食堂ですな
 五條には他にも懐かしい建物が残ってましてノスタルジーに浸れます。
 お昼ごはんがまだでしたので、地元名物の柿の葉寿司をいただきます。
 サバの押し寿司を柿の葉で包んだものですが、柿の葉の殺菌作用をうまく利用したお寿司でして、ほんと「昔の人は偉かった」ですね。

このあたりの名物と言えば
「柿の葉寿司」でしょうか

五條バスセンターにて
 五条イオンの横にはバスターミナルがありまして、とあるバスが止まっておりました。
 このバスは近鉄八木駅から新宮駅前を結ぶ(高速道路を通らないバスとしては)日本最長の路線バスでして、走行距離は169.9キロ料金は全線通しで5250円所要時間は6時間半になります。
 五新線の夢はこのバスに結実しているわけですが、乗るのはちょっとちゅうちょしますな〜
 だってシートが「普通の路線バス」ですからね。
 ある意味「はかた号」よりすごいかもしれないです。

五條から新宮駅前まで4500円
 さて、今回のお土産コーナー

 本陣交差点南東角にある「きく川」さんで購入しました。
 「まいぎぬ」です。
 米粉をふんわりと焼いた皮に、梅餡とゆず餡をはさんだ一品。
 お上品なお菓子で、お抹茶にもあうんじゃないですかね〜
同じく「きく川」さんから
「しずく石」
 こちらは甘く炊いた黒豆を、くずでつつんだ一品。
 冷やして食べると、これからの季節にぴったりじゃないかな?
 
五條の休日 完
2014.5.6作成
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